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コミュニケーション・ラボラトリーの公式ブログです。イベントの告知のほか、いままで書き溜め、Mixiなどで公開していた文章なども公開していきます。
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今日こそNon-violent Direct Action「非暴力直接行動」について文章を書こうと思います。

いろいろな市民社会の活動を見ているうちに、考えがまとまって来たのですが、文章化して人に伝えようとすると骨が折れるため、なかなかできていま せんでした。でも最低でもお二人ほど、読んでみたいといってくれる人がいたのと、サミットが終わって一段落したこともあるので、サミット絡みで感じたこと も含め、書けるだけ書いてみようと思います。

すんごく長いです。比較的長い文章を書く僕としても今まででかなり長い文章です。賛成出来ない人も多いかもしれません。分かりにくい点も多いかもしれません。申し訳ないです。
反論ももちろん歓迎です。自分の意見が100%正しいなんて思っていないので。ただ「会話が成り立たない」人と問答はしたくないので、わかりあうチャンスはくださいね(昔ブログでめっさ意見に文句を言われて、言い逃げ経験があったので)。

あ、せっかくなんで特に意見とかなくても、全部読んでくれた人、「読みきりました!」ってコメントくれたらうれしいです。

では以下より。




「非暴力直接行動」とは何なのか、まず最初に説明する必要があると思います。一番分かりやすい例が「デモ」とか「抗議行動」です。

いくら民主主義の社会とは言え、市民のほとんどは直接の社会の意思決定に関われているわけではありません。市民が自分たちの主張を社会に通した り、政治に反映させるには地元の政治家などの「意思決定者」に働き掛けて、政策などの「ルール」を作り、国会などの「意思決定の場」で検討してもらい、賛 成を得る必要があります。もちろんすべての主張が通るわけではないし、意思決定者に聞いてもらうことすらできていない「市民の声」はたくさんあります。も ちろんこのことは「国・国会・国民」のレベルだけでなく、「大学・理事会・学生」でも「会社・役員会・会社員/消費者」でも同じことです。

こうした声を聞いてもらう手段として用いられるのが「非暴力直接行動」だと思っています。意思決定者が「無視することができない状況」、つまり 「世論」というようなものを作り出すということです。「非暴力」であることの重要性は改めて言うことはないと思います。「暴力的行動」に出てしまえば、 「犯罪」ですから、どんなに主張が正当であっても一瞬にして世論からは離るでしょう。あくまで「非暴力的」であるから意味があるのです。

ただし「非暴力直接行動」=「デモ」「抗議行動」ではありません。デモや抗議行動はあくまで「非暴力直接行動」の一つの手段に過ぎないのです。ほ かにどんなことがあるかといえば、「署名運動」もそうですし、「陳情書」などもその例になるでしょう。僕らが世界青年サミットで行った「提言書づくり」と 「意思決定者との対話の場を作る」ことも大枠では「非暴力直接行動」なんです。

たくさんの人間がその主張に「賛成」しているということを示すことで、今まで聞いてもらっていなかった主張にスポットライトを当てることができるのでしょう。

つまり逆に言えば、その「主張」が何なのかがぼやけていたり、「たくさんの人が賛成している」ということを示すことができなければ、その「非暴力直接行動」は失敗だということです。

そういう意味で先日の洞爺湖サミットへの自称「ピースウォーク」は失敗だと思います。G8サミットに向けて意見のあるたくさんの人が集まりました が、その主張もさまざまな、受け手には「なんの主張なのか」がさっぱりわかりません。しかもマスメディアのよって、すべてが「反G8」の運動を括られてし まいました。

さらにこうした行動は「たくさんの人々が主張に賛成している」ことを示すためのものなのに、マスメディアが作るイメージを見た人や、実際にその行 動を見た人たちから「嫌悪感」や「忌避感」、さらに「違和感」を持たれてしまっては逆に主張を聞いてもらうための「世論」を作るには遠のくでしょう。

そもそも日本においてこの「非暴力直接行動」がなかなかうまくいかないのは、このあたりの「世論作り」がうまくいってないからです。
「デモ」や「抗議行動」にたいしてネガティブなイメージを持っている人間が多く、やればやるほど「大衆」から主張が離れてしまう可能性が大きいのです。
道路などの公の場でスピーカーを持って何かを主張したり、署名を求めている人がいますが、仮に1000人の目に触れて、100人から賛成を得た り、署名を得られたとしても、残りの900人に「嫌悪感」「忌避感」「違和感」を持たれてしまっては、果たして意味があるのでしょうか?本当にその手段は 自分たちの主張を通す上で「適切」「適正」な手段なのでしょうか?

このあたりの熟慮なしに「非暴力直接行動」を行っても、決して成功しないはずです。公の場で「非暴力直接行動」を行うのであれば、たくさんの人の目に触れる分、主張の「イメージダウン」になるリスクを常に考えなければいけないのです。

そもそも公の場での「非暴力直接行動」は本当に自分たちの主張を通すために意味があるのでしょうか?
公の場でそうした行動を行うのは、意思決定者に直接語りかけるわけではありません。多くの市民の目に主張を触れさせることで賛成を得ること、そし てマスメディアに注目されることで新聞の記事やニュースになり、多くの人に知れ渡ることです。それだけでは意思決定者に主張を聞いてもらうことにはならな いはずです。

意思決定者に主張を通すのであれば、
「主張を持つ」→「大衆から支持を得る」→「意思決定者に持ちかける」というプロセスが一般的です。ただし現在多くの非暴力直接行動はそのあたり が混同しています。「多くの人に問題を知ってもらう」ために行っている行動がほとんどです。つまり「支持を得てない」ことをその行動から露呈してしまって いる場合があります。これでは主張が取り入れられる可能性は少ないです。

「問題自体を知っている人が少ないからメディアの目に触れることをして、たくさんの人に知ってもらう」といって公の場で行動する人もいます。考え方としては間違っていないと思います。しかしそれがその問題を知ってもらうために「ベスト」な手段なのでしょうか?
その行動の後に「その主張を意思決定者に聞いてもらう」ためのプロセスをしっかり持っているのでしょうか?多くの人から支持を得ていることを示していても、メディアに載っているだけではそこから政策作りに発展するわけないのです。

その「支持を得ている」という成果をもってどのように意思決定者にアプローチをするのか、その当たりも大事な点だと思います。

ここまで非暴力直接行動について厳しい視点で書きましたが、僕はこの手法を否定するわけではありません。むしろ市民社会、特に日本国民にとっては 重要にして必要な手法であり、もっと奨励されるべきです。ただしいわゆる「アンチ」にたいしてネガティブになりやすい)日本人の精神性(というのは僕の個 人的見解で、間違っているかもしれませんが)を考えると、「そのやり方」と「影響」についてしっかりと考慮し、戦略と勝算をもって行う必要があると言うこ とです。

メディアに載ることを目指すのであれば、「どのようなイメージで載るのか」
署名などの支持を得たいのであれば、時間と場所を考え、「どのような人がそこに往来し、賛成してくれる可能性が高いのか」
そして集まった署名や自分たちの主張は「どのようにして」「どの意思決定者に届けられるのか」
これらのことについてしっかりと検討される必要があります。

書いているうちに自分が思っていたよりもすんごく長くなってしまいましたが、まだちゃんとまとめきれている気がしません。また修正するかもしれないです。

いろいろと厳しい視点で書きましたが、日本人はもっと積極的に行動をしていくべきだと思います。「公の場での行動」は戦略と熟慮が必要だと思いますが、「意思決定者に直接語っていくこと」はもっともっとされていくべきです。

全部読んでくれた方、ありがとうございました。

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プロフィール
HN:
Junya Tanaka
性別:
男性
職業:
NGOスタッフ/参加型の場づくり研究・実践家
自己紹介:
青山学院大学の社会人大学院社会情報学研究科ヒューマンイノベーションコースで参加型の場づくり、ワークショップデザイン、ファシリテーションなどについて研究をしながら、震災関連の仕事をしています。

2007年5月南カルフォルニア・オレンジ郡にある4年制教養大学を卒業しました。その後にすぐにイギリスの大学院に行くつもりが、もろもろの事情でいかないことにし、日本に帰国しました。なぜかいまだに日本にいます。人生思ったようにはならないです(笑)
後悔はしていませんが、試行錯誤です。

2011年5月にまたまた転職しました。震災関連の仕事をするためにアメリカ系のNGOで働き始めました。

また休日や平日の夜にはイベントや会議や参加型のプロセスのデザインやコーディネートをやったり、さまざまな研修や会議のお手伝いをしてます。ご関心があればお声掛けください。こういう研修ってふつう結構高いので、学生が参加できる金額でやれたらなと思っています(参加費応相談)
◇参加型ファシリテーション入門編ワークショップ
◇傾聴力ワークショップ
◇アイスブレーキング体験学習ワークショップ
◇開発と気候変動を考える参加型ワークショップ
<現在企画中>
▽発問力ワークショップ
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