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先々週くらいに日本が出した温室効果ガス削減目標「2005年度比で15%削減」に対して、今日、国連事務総長パンギムン氏が「もっと『野心的な』ものであってほしい」と述べました。

この「野心的」という言葉、麻生総理自身も発表の際に「野心的な目標」と表現しているのですが、なんとも違和感のある言葉に感じるのは僕だけでしょうか。

英語では「ambitious target」という言葉が使われており、それを和訳した場合「野心的な目標」となるのでしょうが、ここでいう「ambitious」と「野心的」は、訳として「=(イコール)」なのかは疑問があります。

「あなたは野心的ですね」と言われてうれしい人はあまりいないですよね。

そもそも「野心」という日本語にはどこか否定的な含みがあり、どこか「腹黒い」であるとか「人よりも」みたいイメージを持たれがちだと思うのです。そして英語でいう「ambitious」にはそのような含みは感じられません。

ニュースを見て違和感を感じるのはここの違いだと思うのです。

「ambitious」という言葉を聞いて、多くの人が思い出すのはクラーク博士の「Boys, be ambitious!」だと思いますが、この言葉は「少年よ、大志を抱け!」という風に訳されています。
(この言葉が本当にクラーク博士が言ったものなのかは異論があるようですが)。
これがもし、「少年よ、野心的であれ!」と訳されていたら、だいぶイメージは違ったし、だれもが知っているような名文句にはならなかった気がします。

と、そんなことを思いながら辞書で調べていると、日本語でも、形容詞「野心的」の使い方は、人を形容するときと、計画や目標を形容する時ではニュアンスが違うようです。

◆計画などが野心的: 大がかりな ・ 大胆な ・ 壮大な(計画) ・ 大きく構えた ・ 途方もない ・ 大風呂敷的な ・ チャレンジングな ・ 困難を覚悟の ・ やり甲斐のある ・ 「(何と)大それたことを~」

◆人などが野心的: 野心家 ・ 自信満々の ・ 功名心にはやる ・ 権力志向型の ・ 上昇志向の強い ・ 負けず嫌いの ・ どん欲な ・ 攻撃的な(性格) ・ 挑戦して止まない ・ ギラギラした ・ 脂(あぶら)ぎった(性格の)
(http://thesaurus.weblio.jp/content/%E9%87%8E%E5%BF%83%E7%9A%84)

人を形容する時の方がネガティブなニュアンスが多いのは一目瞭然ですね。「野心家」のように、こちらの使われ方が一般的になっているために、「野心」という言葉自体のイメージが定着してしまっているのかもしれません。

さて最後に、今回の「2005年度比15%削減」に対して少しコメントをしておきたいなと。
今回の発表は、おもに二つの点で、混乱を誘っているな、と感じています。

第一点は環境系のNGOが批判しているとおり、基準年を2005年にしていること。
京都議定書やヨーロッパが基準としている1990年から2005年では日本は温室効果ガス排出量が増えてしまっているため、目標基準年を2005年にしたい、としています。
ただしこれはある種の間接的メディアコントロール、イメージコントロールにためにそうしている気がします。

数字でいえば2005年比15%は、1990年比の8%です。この発表に際し、2005年比15%と言えば、メディアの見出しは「日本の温室効果ガス削減中期目標15%」となるでしょう。実際にそう見出しを出しているところも多いです。
90年比8%というよりも、数字が大きい分イメージがよいです。読み手は情報を得る際に「基準年」と「目標値」を確認しなければならなく、誤解を招きやすいのです。

もう一点は「真水で15%」という点です。「真水」というのは、海外からの排出権クレジット(海外の排出量をお金で買い取う排出権取引や、クリーン開発メカニズム<CDM>で海外に温室効果ガス削減技術を提供し、その一部をもらうこと)を含まず、国内での削減数値のみで15%、という意味です。

ちなみにEUの目標20%やアメリカの目標14%には、こうしたクレジット分は含まれているらしいのです。

日本は「真水のみ」と発表することで、排出権クレジットを含めた実際の「日本の削減目標」を発表していない、という印象が僕にはあります。このあたりは環境系の団体もあまり指摘していないように思われます。

クレジットに関しては、どの国からどのくらい買うのかという予算の関係と、CDMの場合の技術移転が「国の技術の流出である」という一部業界からの反発によって、実際にどれくらいになるのかが微妙な当たりです。というよりも目標を発表する時期までに議論をまとめることができなかったというのが本音じゃないかと思います。

そのため、2005年度比に真水で15%という発表をすることで、本当の目標設定を先延ばし(もしくはごまかし)しているのではないでしょうか。ここの辺りって非常に大事なところだと思うのですね。
排出権クレジットのあたりなどは、途上国からしたら多額のお金を手に入れるチャンスになりますし、関心も高いと思います。

本来であるならば、先進国は、真水で●%で、クレジットで△%、合計◆%と発表するべきだと思います。

まだそこまでの議論ができていない、というのが現状なのでしょうが・・・・。

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プロフィール
HN:
Junya Tanaka
性別:
男性
職業:
NGOスタッフ/参加型の場づくり研究・実践家
自己紹介:
青山学院大学の社会人大学院社会情報学研究科ヒューマンイノベーションコースで参加型の場づくり、ワークショップデザイン、ファシリテーションなどについて研究をしながら、震災関連の仕事をしています。

2007年5月南カルフォルニア・オレンジ郡にある4年制教養大学を卒業しました。その後にすぐにイギリスの大学院に行くつもりが、もろもろの事情でいかないことにし、日本に帰国しました。なぜかいまだに日本にいます。人生思ったようにはならないです(笑)
後悔はしていませんが、試行錯誤です。

2011年5月にまたまた転職しました。震災関連の仕事をするためにアメリカ系のNGOで働き始めました。

また休日や平日の夜にはイベントや会議や参加型のプロセスのデザインやコーディネートをやったり、さまざまな研修や会議のお手伝いをしてます。ご関心があればお声掛けください。こういう研修ってふつう結構高いので、学生が参加できる金額でやれたらなと思っています(参加費応相談)
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