コミュニケーション・ラボラトリーの公式ブログです。イベントの告知のほか、いままで書き溜め、Mixiなどで公開していた文章なども公開していきます。
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前に書こうとして、中途半端にしか書けなかったことを、いろいろ付け足しながらちゃんとかいてみようかと思います。
最近「浅野いにお」っていう漫画家の作品が結構お気に入りです。そんなにメジャーじゃないけど、好きな人は多いみたいで、ビレッジバンガードでは店員の気合の入った紹介文が読めます。
彼のスタイルで一番すきなのは彼の短編集でよく使われる「群像劇」です。
特定の主役がいるわけではなく、いろいろな登場人物の目線で、それぞれのストーリーが展開していくような。それぞれ別の視点なんだけど、お互いに小さかったり大きかったりする接点があって、その別の人物の視点で時間軸と場所が重なり合ったりするのが楽しい。
そういうストーリーを書くのは、普通以上に構成力が必要だし、ストーリーを一本のラインではなく、複数のラインが絡み合う話を想像(創造)しながら、どの時間軸と場所を描写することで全体のテーマを描き出すかっていう発想力が必要なんだと思う。
だから下手な群像劇を読むと尋常じゃなく陳腐に感じるし、うまく書けた群像劇を読むと感動を覚える。
上遠野浩平が好きになったのも、デビュー作のブギーポップが群像劇的だったからだし。
こういう話を読んでいると、ヨーロッパを1人でバックパッキングしていたときの不思議な感覚を思い出す。
ルーマニアからハンガリーに向かう10時間以上の長距離列車の中で、止まったある駅で窓からみた光景。国境付近の何もない寂れた駅で、大荷物を持った若い男と、その人を取り囲むような老若男女の人々。
長い移動に暇をもてあました僕は、彼の今までとこれからの人生を想像してみる事にしたのだった。
田舎から家族の期待を背負って都会に出て行くのであろう若者の生い立ちと行く末を。
そうやって彼の人生を頭の中で仮に追体験してみると、彼の人生の一幕の中で、転機となる出発の瞬間に、彼の背後にある列車からぼーっとした顔で窓の外をのぞく東洋人がいた。
それは僕だ。
そうやって考えると、なんだか不思議な感じがした。僕が主人公の人生の中で、一瞬の登場人物に過ぎない彼がいて、その彼を主人公とした人生のストーリーでは、僕はセリフすらない背景のエキストラでしかない。
同じように、僕が日々の流れの中で、出会ったり、はたまた単にすれ違ったりする数え切れない人々にも、僕と同じように、自分を主人公にしたストーリーがあって、それが群像劇のように複雑に絡み合いながら日常が進んでいるということ。
それは本当に当たり前のことなのに、なぜか新鮮な気づきだった。
そんな気づきがあってから、日本に帰った後も、満員電車の中でとか、近くにいる人の人生を想像してみることがあった。
そんなときには、いらいらしたり、辛そうな顔をしている人をみると、昔よりも優しくなれるような気がした。仕事の帰りの電車で、疲れた僕を突き飛 ばしたやけにイラだったあのサラリーマンにも、前の僕であったら、単なる嫌な脇役でしかなくて、悪い感情しかわかなかったのに、彼の人生を想像すること で、会社で上司と部下の板ばさみなのか、家に帰ると子どもも奥さんとも会話がないのかもとか、勝手な想像だけどそんなこと考えていると、腹立たしくおもう 気持ちが、少しだけ、ほんの少しだけだけど和らいだりした。
逆に、他の人の人生の中で、自分というキャラクターがどんな風に登場しているのかを想像すると、意外なものが見えてきたりする。仕事で疲れてる、 やなことがあった時の僕っていうのは、僕からの視点でしかなくて、他の人のストーリーに一瞬しか登場しない僕のそんな背景には普通は想像などできない。だ から、その一瞬でしかないかもしれない出会いのも、少しは大事にできるかもしれない。
群像劇のように、いろいろな視点をもって、自分が主人公じゃない他の人のストーリーの観客にもなれれば、僕らはもっと他人に優しくなれるのかもしれない。
そんなことを思ったりしてしまうのは、なんだかこの街が切ないからかもしれない。
駄文を読んでくださり、ありがとうございました。好き勝手に書きたいこと書いただけなので、コメントは期待しておりませんが、なんか思ったことあったら残してくれたらうれしいっす。
最近「浅野いにお」っていう漫画家の作品が結構お気に入りです。そんなにメジャーじゃないけど、好きな人は多いみたいで、ビレッジバンガードでは店員の気合の入った紹介文が読めます。
彼のスタイルで一番すきなのは彼の短編集でよく使われる「群像劇」です。
特定の主役がいるわけではなく、いろいろな登場人物の目線で、それぞれのストーリーが展開していくような。それぞれ別の視点なんだけど、お互いに小さかったり大きかったりする接点があって、その別の人物の視点で時間軸と場所が重なり合ったりするのが楽しい。
そういうストーリーを書くのは、普通以上に構成力が必要だし、ストーリーを一本のラインではなく、複数のラインが絡み合う話を想像(創造)しながら、どの時間軸と場所を描写することで全体のテーマを描き出すかっていう発想力が必要なんだと思う。
だから下手な群像劇を読むと尋常じゃなく陳腐に感じるし、うまく書けた群像劇を読むと感動を覚える。
上遠野浩平が好きになったのも、デビュー作のブギーポップが群像劇的だったからだし。
こういう話を読んでいると、ヨーロッパを1人でバックパッキングしていたときの不思議な感覚を思い出す。
ルーマニアからハンガリーに向かう10時間以上の長距離列車の中で、止まったある駅で窓からみた光景。国境付近の何もない寂れた駅で、大荷物を持った若い男と、その人を取り囲むような老若男女の人々。
長い移動に暇をもてあました僕は、彼の今までとこれからの人生を想像してみる事にしたのだった。
田舎から家族の期待を背負って都会に出て行くのであろう若者の生い立ちと行く末を。
そうやって彼の人生を頭の中で仮に追体験してみると、彼の人生の一幕の中で、転機となる出発の瞬間に、彼の背後にある列車からぼーっとした顔で窓の外をのぞく東洋人がいた。
それは僕だ。
そうやって考えると、なんだか不思議な感じがした。僕が主人公の人生の中で、一瞬の登場人物に過ぎない彼がいて、その彼を主人公とした人生のストーリーでは、僕はセリフすらない背景のエキストラでしかない。
同じように、僕が日々の流れの中で、出会ったり、はたまた単にすれ違ったりする数え切れない人々にも、僕と同じように、自分を主人公にしたストーリーがあって、それが群像劇のように複雑に絡み合いながら日常が進んでいるということ。
それは本当に当たり前のことなのに、なぜか新鮮な気づきだった。
そんな気づきがあってから、日本に帰った後も、満員電車の中でとか、近くにいる人の人生を想像してみることがあった。
そんなときには、いらいらしたり、辛そうな顔をしている人をみると、昔よりも優しくなれるような気がした。仕事の帰りの電車で、疲れた僕を突き飛 ばしたやけにイラだったあのサラリーマンにも、前の僕であったら、単なる嫌な脇役でしかなくて、悪い感情しかわかなかったのに、彼の人生を想像すること で、会社で上司と部下の板ばさみなのか、家に帰ると子どもも奥さんとも会話がないのかもとか、勝手な想像だけどそんなこと考えていると、腹立たしくおもう 気持ちが、少しだけ、ほんの少しだけだけど和らいだりした。
逆に、他の人の人生の中で、自分というキャラクターがどんな風に登場しているのかを想像すると、意外なものが見えてきたりする。仕事で疲れてる、 やなことがあった時の僕っていうのは、僕からの視点でしかなくて、他の人のストーリーに一瞬しか登場しない僕のそんな背景には普通は想像などできない。だ から、その一瞬でしかないかもしれない出会いのも、少しは大事にできるかもしれない。
群像劇のように、いろいろな視点をもって、自分が主人公じゃない他の人のストーリーの観客にもなれれば、僕らはもっと他人に優しくなれるのかもしれない。
そんなことを思ったりしてしまうのは、なんだかこの街が切ないからかもしれない。
駄文を読んでくださり、ありがとうございました。好き勝手に書きたいこと書いただけなので、コメントは期待しておりませんが、なんか思ったことあったら残してくれたらうれしいっす。
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プロフィール
HN:
Junya Tanaka
性別:
男性
職業:
NGOスタッフ/参加型の場づくり研究・実践家
自己紹介:
青山学院大学の社会人大学院社会情報学研究科ヒューマンイノベーションコースで参加型の場づくり、ワークショップデザイン、ファシリテーションなどについて研究をしながら、震災関連の仕事をしています。
2007年5月南カルフォルニア・オレンジ郡にある4年制教養大学を卒業しました。その後にすぐにイギリスの大学院に行くつもりが、もろもろの事情でいかないことにし、日本に帰国しました。なぜかいまだに日本にいます。人生思ったようにはならないです(笑)
後悔はしていませんが、試行錯誤です。
2011年5月にまたまた転職しました。震災関連の仕事をするためにアメリカ系のNGOで働き始めました。
また休日や平日の夜にはイベントや会議や参加型のプロセスのデザインやコーディネートをやったり、さまざまな研修や会議のお手伝いをしてます。ご関心があればお声掛けください。こういう研修ってふつう結構高いので、学生が参加できる金額でやれたらなと思っています(参加費応相談)
◇参加型ファシリテーション入門編ワークショップ
◇傾聴力ワークショップ
◇アイスブレーキング体験学習ワークショップ
◇開発と気候変動を考える参加型ワークショップ
<現在企画中>
▽発問力ワークショップ
▽ワークショップデザインコース
2007年5月南カルフォルニア・オレンジ郡にある4年制教養大学を卒業しました。その後にすぐにイギリスの大学院に行くつもりが、もろもろの事情でいかないことにし、日本に帰国しました。なぜかいまだに日本にいます。人生思ったようにはならないです(笑)
後悔はしていませんが、試行錯誤です。
2011年5月にまたまた転職しました。震災関連の仕事をするためにアメリカ系のNGOで働き始めました。
また休日や平日の夜にはイベントや会議や参加型のプロセスのデザインやコーディネートをやったり、さまざまな研修や会議のお手伝いをしてます。ご関心があればお声掛けください。こういう研修ってふつう結構高いので、学生が参加できる金額でやれたらなと思っています(参加費応相談)
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